財布1















ブルガリの財布の小銭入れ部分の変色です。
小銭入れ内側の布地がライン上に黄色く変色しています。
これは外部から何かが付着したものではなく、構造上のトラブルになります。

革と布地を縫製する際や、立体的な曲線を縫製する際に、ミシン上での生地ずれを起こさないために、両面テープで一度接着させてから、ミシンを通します。
その、内側に貼られた両面テープの経年変化によって、表面の生地が変色したり、表側の生地に染み出してきたりします。

こういうトラブルを僕は内的要因によるトラブルと言っていますが、バッグや財布や靴などで、頻繁に見られる事例です。

特にこのメーカーの製品がというものではなく、海外製、日本製共にどのブランドでも見られるトラブルです。

バッグや財布は元々洗うように作られていません。
しかもJIS(日本工業規格)でもバッグや財布の耐用年数などの記載はありません。
要するに、バッグや財布や靴などは、本来メンテナンスというものを考えて作らなくて良い製品ということになっているんです。

財布2














糸をほどいてみるとこんな感じです。
内側はネバネバ状態(笑)

溶解した樹脂をすべて取り除く作業から入ります。
財布全体を解体しないで行う為、結構細かい器具などを使って行います。
人体手術を切開しないで、行う方法のような感じですかね。

財布3















溶解した樹脂を取り除くと黄色くなった部分も元の色になります。
生地が変色したのではなく、溶解した接着樹脂が滲み出ていたことが分かります。

全解体をして作業をすることもありますが、なるべく全解体しないで可能な限り、処理をした方が金額も安く、デザインも崩すことなく確実に作業ができるので、今回のような部分的なものは部分解体をします。


そう言えば、この前の全解体したグッチのバッグ
どこまできれいに治ったのかという問い合わせを受けたので、修正後もアップしておきます。
バック















こんなにきれいになって元通り縫製しなおしました。
でもバッグ全解体は大変っす
さて、お盆明けに今テストしてる毛皮の染料が届きます。
たのしみら〜(´∀`)