星野1ブログ

レザーバッグにシミが付いた時、あせってオシボリでゴシゴシしてしまう事ありませんか?
こういうのって逆に表皮を痛めてしまったり、表皮の下の皮下組織にダメージを与えてしまって取り返しのつかない状況になったりします。

革は洋服などの生地とは違いシミを抜き取ると元の状態が出てくるということはほとんどありません。
同じように考えていらっしゃる人が多いですが、革の場合は革内部にどれだけ染み込んで、皮下組織がどれぐらいダメージを受けているかで、仕上がりの状態が変わってしまうのです。

表皮という動物の皮膚の部分のシミ抜きはできますが、皮下組織のダメージは元に戻すことができない。
それらの構造をきちんと理解している人がほんとうに少ないなと思います。


「バッグに○○が付いたんですが落ちますか?」という問い合わせを多く受けますが、「何のシミ」という部分より「革はどのような革かという部分と、どの程度の量が染み込んで、革の風合いが変わっていないか」という部分の方が大事なのです。
革組織のダメージは硬化や軟化など色々なパターンがありますが、一度組織変質が起きてしまうと、表皮を染み抜きしても必ず歪が表皮に現れます。

星野2ブログ

このバッグもシミが付着した部分をオシボリで拭き取ろうとがんばったようで、シミは残ったまま周りの革が変質してきています。
まだ製品が新しくの革の状態がとてもよかったので、染み抜きと染色補正にてほとんどわからない状態にはなりましたが、時間が経過している状態だったらここまでいかなかったと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

4月25日のニュース
レギュラーガソリンを「ハイオク」と偽装した問題で、実際はレギュラーにもかかわらず「ハイオク」と称して販売していたガソリンスタンドが過去5年で全国で延べ209か所に上ったことが、経済産業省資源エネルギー庁のまとめでわかった。

って報道を見たんですが、なんかクリーニング業界の「デラックス」と似てんなって思ったのは僕だけですかね。

12年間クリーニング業界にどっぷり浸かってた中で僕の考えるクリーニングの7不思議の1つが「デラックス仕上げ」

特定のブランド品はお客様が指定しなくてもデラックス料金になるっていうクリーニング店もありますが、それはそれでまた面白いんだけど、今回はこの仕組みがどうのこうのって意味じゃなくて、デラックスの洗い・仕上げについての疑問。

デラックスって言うからにはそれなりに明確な区分けがされていれば問題ないんですけどね。

まずクリーニングというのは「きれいにする」という部分でお金をもらっているわけではなく、「洗う」という仕事でお金をもらっている商売だという事はみなさん知っていると思います。
ようするに「きれいにならくても」洗うという作業を代行してあげることでお金をもらえる商売。

その上でこの「デラックス」という曖昧な表現のメニューは何を意味するのか?
料金をもらっている以上は「洗う」という部分での違いを明確にする必要があると思うんだけど、僕が知っている限り洗浄液を分けて洗う所はほとんどなく、別のロットで洗っているだけだったりする。

別のロットというのが一般の方にはわかりにくいかもしれないけど、ドライクリーニングの機械で洗う際に1回に洗う点数を1ロットとして区分けしている。
大体色で黒系・中間色系・白系で分けて洗うんだけど、デラックスはデラックスだけでロットを組む。
仕分けされて洗われているんだから洗いも違うはずだという思うかもしれないけど、実際には仕上げをする人が気を使ってプレスできるように、工場側の都合で分けているといった方が正しかったりする。

洗いの液は一般の液と同じで、ネットに入れて大事に洗われたり、短時間で洗われたりお店ごとに工夫はされているけど、ネットに入れて洗うという事はそれだけ品物が動かないわけだから汚れ落ちは悪い。まして洗浄時間が短くされていればなおさらである。
洗浄理論からするとデラックスの方が汚れ落ちが悪いとなる。
デラックスの時は洗浄液の中に風合いを向上させるリンス剤などを混ぜて洗ったりもするお店もあるけど、それは汚れを落とすという事とは別。

まぁここでクリーニング批判を長々と展開したいわけじゃないからこの辺にしておきますが・・・('д` ;)
一度クリーニング店の工場で働いている人が知り合いにいたら聞いてみてほしい。(店舗じゃなく工場で働いている人じゃないとだめですよ)
「あなたがクリーニングに洋服を出すときはデラックスで出しますか?」ってね

もし「うーん・・・」って悩むような事があったら「デラックスって具体的に何が違うの?」っていう質問に変えてみよう。「包装紙の種類が違うって事以外でね」って付け加えて

明確な回答が出ないお店がどれくらいあるだろう。
たぶん「レギュラー」を「ハイオク」で販売していた全国で延べ209か所より多い数字になると僕は思っています。
僕が18から30までずっと思っていたクリーニング業界の7不思議の1つがこのデラックス仕上げってやつです。

当社は5,000円のバッグでもエルメスのバッグでも同じ状態であれば施術にかかる費用は変わらない。
なぜなら「洗う」という作業でお金を頂いているのではなく、「きれいにするためにどういう処置を行うか」でお金を頂いているからです。

お電話での問い合わせで「え?クリーニングとは違うんですか?」って聞かれることがよくありますが、「洗う」という作業でお金を頂くのと「きれいにする」という施術内容でお金を頂くのでは全然違います。
でもこの国にはそのような区分がないため、前者も後者もクリーニング店の営業許可が必要になります(笑)

昨日あるお客様からの依頼で「クリーニングのデラックスに出したのに白いジャケットがくすんで帰ってきて、それをお店に言ったら、『ドライクリーニングで洗えば白はくすむんです』って言われたんですけど・・・」という問い合わせがありまして
あぁ、逆汚染かと思いながら白のくすみの原因を話していたら「デラックスってなんなんですかね」って話になったので、思い切って書いてみました。