エナメル色移り染み抜き(まとめ1)を見た後にこちらをご覧ください。


前回革製品からの接触による転写色移りの紹介とエナメルの構造、色素分離除去処理について説明していますが、今回は接触による転写色移りではなく、バッグの内布からの色移りを紹介します。

エナメル財布に限定されてくるのですが、レシート印字や製造番号印字の転写と同じくらい多いのが、バッグの内布からの転写色移りになります。
今回の内容は明るい色のエナメル財布を購入されたすべての人に知っておいてほしい内容となります。
なぜなら依頼主のかたほとんどがバッグ内布から転写色移りしたと気づいていないからです。

皆さん「使用していたらだんだん黒ずんで汚れてきた」というようにそれが転写色移りであってもそれに気づかずに使用して、汚れだと気づいた時には状態が悪化しているのです。

革や布地の財布が手垢などで汚れていく様と同じように見えるため「使用汚れは落ちますか?」と問い合わせされてきます。
前回もエナメルは汚れにくい素材だと書きましたが、エナメル製品は革や布地の財布みたいな汚れ方はしません。バッグの内布から少しずつ色が移って行くこともあるという事を理解して組み合わせるバッグを注意しなければなりません。



エナメル黒内布転写1
















上写真はヴェルニの財布ですが、黒の内布のバッグとの組み合わせで転写色移りが起きています。
この依頼主の方も「使用汚れ」と言われて相談されましたが、エナメルは他の素材と違い使用汚れなどはほとんど付きません。
接触転写と違い少しずつ転写していく為、使用している本人が気づかないうちに濃くなっていくというのが、この転写色移りのポイントとなります。
エナメル黒内布転写3















上写真のような黒布バッグとの組み合わせによって転写色移りが起きています。もしこのような組み合わせでエナメルの財布を使う時はタオルやハンカチでくるんでバッグに入れておくしかないです。摩擦で擦れ合う事で転写が起きていくので擦れ合わなければ転写はおきません。

エナメル黒内布転写2
















エナメル黒内布転写4
















内布からの転写は数字転写などと違い、色素の量がそれほど濃くなく革の層まで染み込んでいないケースが多いため、色素分離除去処理でほとんど抜き取れるのですが、縁の部分はどうしても処理できない場所になります。色素分離除去処理はステッチから5ミリ程度は処理できない為、写真のように縁部分の色移りが残ってしまうという事があります。


エナメル赤内布転写1
















上写真はヴェルニの財布に数字の転写とバッグ内布からの転写が同時に起きている状態になります。
エナメル赤内布転写3















実際に当社でテストしたのですがヴィトン製品の内布が赤いタイプのバッグでは転写色移りが起きる可能性が高いです。
ベージュやオフホワイトなどの内布では起きませんが、赤や黒の内布バッグと明るい色のヴェルニの組み合わせは危険です。ヴィトンショップでも販売時にこの事は発信した方が良いと思うのですが・・・(´・ω・`)

エナメル赤内布転写2




















こちらも印字や赤内布転写は色素分離除去処理できれいに抜き取れましたが、縁の部分は色素分離除去処理ができない部分になりますので、そのまま残ります。

【明るい色のエナメル製品の財布を購入されている方に覚えて頂きたい事】

1、内布からの転写色移りはバッグの中で内布と擦れ合う四隅の縁部分から始まり、少しずつ本体に転写されていきます。
2、縁の部分から濃くなるため気にしていればすぐに気付けるはずです。早めに処置をしなければ、本体はきれいにできても縁部分が処置できません。
3、色が薄いエナメル製品を購入されている方は特に、バッグの内布が黒や赤などの色の濃い製品と併用される際はハンカチやタオルで包んで入れておくなどの注意が必要です。ベージュやオフホワイトなどの薄い色では転写はおきません。

4、一枚もの革バッグで内布がないタイプのバッグですと完全にアウトです。裏側が床革になりますので布地より短時間で色移りが起きます。内布がないタイプの一枚物革バッグとの併用は避けてください。

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